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PIPERS404号掲載

ヤナギサワWOテナーを試奏する!

試奏:栃尾克樹
同席:今井翔(プリマ楽器サクソフォン技術担当)

記事協賛:株式会社プリマ楽器、柳澤管楽器株式会社


3月10日に発売されたヤナギサワWOテナーサクソフォン5機種を、東京佼成ウインドオーケストラやソロで活躍する栃尾克樹さんに試奏して頂いた。基本を徹底的に磨き上げたという新しいテナーを、栃尾さんはどのように見たのか?

 ―― 前号でヤナギサワ設計陣が、WOシリーズの目玉の一つは「オクターブキイの切り替えによる音質の段差をできるだけ無くしたこと」だと語っています。

鳴りのバランスがとても良く鳴った!

栃尾 第1オクターブキイと第2オクターブキイの切り替えの段差のことですね。抵抗感や息の方向がそこでカクッと変わるというのがテナー特有の問題の一つ。たしかにWOの第一印象はそこが明らかにスムーズにつながることでした。
 それと、全体に鳴りのバランスがとても良くなったと思う。今まで音のツボがやや探りにくかった上のAも良く鳴るし、同じ息で全体のバランスがとても取りやすくなった。結果として、響きは明るく大らかになった感じがします。余計な気をつかわずにバランスがとれるから、今まで以上に音楽に集中できる。
 ―― 試奏しながらWOの新しいネックをしきりに誉めていましたね。
栃尾 ネックがいいです。今までのヤナギサワに付けてみても明らかに変わります。
 ―― 材質は今まで通りブラス(真鍮)、ブロンズブラス、シルヴァー(銀)の3種類ありますが、材質による違いについては?
栃尾 ブラスとブロンズブラスを比べて、ブラスの方が軽いかと思ったら、決してそんなことはなかった。ブラスにも適度な抵抗感がある。ただしこれは本当に好みの問題。クラシック系の人でもブラスが好きな人もいれば、もちろんブロンズブラスが好きな人もいますから。
今井 ライトモデル(WO1=ブラスとWO2=ブロンズブラス)では両者の価格差が2万円ほどですから、お好みによって選びやすくなっています。
栃尾 シルヴァーはこの2つに比べれば吹奏感は重いけれど、WOは今までのものより吹奏感は重くなく、とても扱いやすい。もっとも、僕が今使っているヤナギサワのテナーは、シルヴァーにピンクゴールドのメッキをかけためちゃくちゃ重い楽器ですけど(笑)。もちろんシルヴァーの楽器の重量は重いです。大きなホールで吹いたときに音の違いがより実感できる材質でしょうね。
今井 楽器は重くなるほど音の遠達性が増しますからね。

ライトモデルは吹き込むほどに鳴っていく?

 ―― ライトモデル(WO1&WO2)とヘヴィモデル(WO10&WO20)の違いではどんな感想を持たれましたか?
栃尾 意外なことに、僕はライトモデルよりヘヴィモデルの方が吹き心地が軽く、音が明るくなる感じを受けました。ライトモデルの方が抵抗が強い感じがした。これはきっとネックの違いが大きいのかも。スタンダードタイプのネック(ライトモデルに付属)の方が最初吹いたときに抵抗感が強く、アッパースタイルのネック(ヘヴィモデルに付属)の方が息がスーッと入る感じを受けました。
 でも、スタンダードタイプのネックの方が好きだという人は大勢いると思います。このネックは吹き込めば吹き込むほど音が抜けていくタイプのネックだと思うし、その意味では息長く使い続けられると思うんです。ライトモデルの価格はいくらでしたっけ?
今井 ブラスが31万5千円、ブロンズブラスが33万5千円です(以上税別)。
栃尾 楽器の性能としては充分ですね。より価格の高いヘヴィモデルにくらべて買い換え時期が早く来るんじゃないかと思う人がいるかも知れませんが、ライトモデルも長くずっと使えます。吹いているうちにさらに鳴って来るかも知れない。ヘヴィモデルと好みで選べる楽器ですね。

ネックを曲げないように気をつけて!

 ―― 話がちょっとそれますが、テナー特有の吹き方の難しさというのはあるのですか? 栃尾 あります。なかなか良い音のツボに当たってくれないという独特の難しさがあります。器用に吹く人でも、なかなか良い音が出にくい楽器。佼成ウインドを昨年引退された仲田守さんは、本当にこの楽器の名人でした。仲田さんのように楽器を全部鳴らしきれる人はなかなかいません。
 アルトやソプラノと比べて種類の違う楽器だと思うしかないですね。バリトンもソプラノを吹くように吹くとすぐに音が詰まってしまい、アンブシュアを柔軟にしないと吹けませんが、テナーも多分同じでしょうね。
 もう一つ、これは特に中高生に言いたいのですが、テナーのネックはすぐに曲がりやすいこと。学校バンドで使われているテナーのネックは、ほとんどが曲がっているかも知れない。ネックが曲がるとオクターブキイがきちんと穴を塞がなくなり、音が全く出なくなってしまう。

今井 テナーのネックのこの角度は一番曲がりやすい角度なんです。また真鍮やブロンズの材質はとても柔らかい。ネックが曲がるとボアが楕円形になりますから、リペアの人間は握った瞬間に分かります、あ、曲がってるって(笑)。
 このトラブルについては中高生の皆さんに出来るだけ啓蒙しようと思っています。ネックを楽器に差し込む前に、先にマウスピースをネックに付けてから楽器に差し込むだけでもトラブルは少なくなると思います。
 
さらにしっとりとした音が楽しめる!

 ―― 今日試奏された中で、栃尾さんが一番気に入られたモデルは?
栃尾 僕はヘヴィモデルのブラス(WO10)が一番気に入りました。僕の息にぴったり合った感じで。
今井 WOシリーズでは、それぞれの材質の良さを今まで以上に引き出していると思いますが、今回、スタンダードともなる真鍮製のモデルを改めてきちんと見直そうという気概は設計陣に強かったようですね。
栃尾 繰り返しになりますが、ブラスとブロンズブラスの違いは本当に趣味の問題で、好みによって選べます。
 ヤナギサワは、良い意味の「ダークトーン」が特徴で、そこに独特の魅力を感じて僕も使っているわけですが、WOはさらにしっとりとした音が楽しめます。何より、WOシリーズの最大の特長は楽器全体のバランスがとても良くなったこと。これを最後に大いに強調しておきたいですね。
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