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オーケストラでシルキーを使う これだけの魅力!

記事協賛:株式会社グローバル

シルキー・トランペットの「HDシリーズ」にニューモデルが追加され、オーケストラや吹奏楽でにわかにシルキーの存在感が高まりつつある。


◎対談
高橋 敦(東京都交響楽団首席トランペット奏者)
田中敏雄(読売日本交響楽団トランペット奏者)

─シルキー・トランペット「HD」シリーズに、B♭管とC管のニューモデルが追加されました。このニューモデルは、高橋さんと田中さんはじめ日本からの意見もかなり取り入れて開発されたものだそうですね。アメリカで一足先に発売された途端、いきなりブレイクしたとか。
倉林(グローバル担当者)C管(C3HD)が先行し、後にB♭管(S33HD/S23HD)が発売されましたが、2014年のNAMMショー(全米楽器見本市)で大きな反響を呼びました。主なところでは、クリーヴランド管弦楽団のジャック・スッテ氏、パリ・オペラ座管弦楽団首席のマルク・グージョン氏などがニューHDのB♭管とC管をすでに使用しています。
高橋 先に出たC管(C3HD)は、僕らの意見を汲んだグローバルが以前からシルキーに提案していたものが実を結んだもの。「日本でテストしてくれ」と試作品が送られて来たとき、僕と田中君とで色々試しました。前のモデルにも増して良くて「これはいけるぞ!」と。
 その後、田中君が「このC管のようなB♭管をぜひ作って欲しい」と強く要望し、今回新しくB♭管(S33HD/S23HD)が登場しました。これも既存のモデルにも増して素晴らしい仕上がりです。
 ─どんな意見を出されたのですか?
高橋 シルキーはベルが太いんですね。それがシルキーらしい音を作っている反面、オーケストラで使う僕の個人的な感覚からすると、音色が一つに偏ってしまいがちに思われました。音色的にやや沈みがちになるとか、もう少し輝かしさが欲しいだとか、そんなイメージです。シルキーは好きで僕は大学時代から使って来ましたから、これはあくまでもオーケストラ用途としての話。そこを解決出来ればさらにオケやアンサンブルで使いやすくなると。
 結論から言うと、そのために新しいベル形状を採用し、重量バランスなどを見直して出来たのがC管の新しいC3HDで、今回のB♭管にもその成果が生かされています。シルキーは演奏するにはものすごく楽な楽器で、そうした良さが全く損なわれていない上に、さらに音色のバリエーションが増え、アンサンブルでの融合性もアップした。だから、「これ使わないでいつ使うの?」と……。
田中 今でしょ!(笑)
 ─すみません、フォローが遅れました(笑)。田中さんもすぐにC3HDをお使いになった?
田中 僕もすぐに使いました。となると、それまで使っていたシルキーのB♭管(S22HD)とのギャップが僕には大きく感じられるようになった。僕もオーケストラ奏者だからC管がメインです。新しいC3HDから持ち替えたときに、違和感のないB♭管があったらとてもありがたい。それで、高橋君と二人で「B♭管まだですか?」とグローバルさんにしつこく催促するようになったんですよ。

HD(ヘビーデザイン)モデルをさらに吹きやすくした!

 ─ここでシルキーのラインナップをよくご存じない方のために、ニューHDモデルまでの流れを紹介して頂けませんか?
倉林 シルキー・トランペットにはもともと、B♭管にBシリーズ、Xシリーズ、Sシリーズ、C管にCシリーズ、Sシリーズ、というモデルがありました。

※シルキーの「S32」や「S22」という番号は、頭の数字(10桁の数字)がボアを表し、「3」がMLボア、「2」がLボアを意味する。続く数字(一桁の数字)は「2」が以前からあるタイプ、「3」が最新のタイプを表す。

 オーケストラ奏者にとってシルキーと言えば、ピッコロトランペットとE♭/D管のイメージが強かったことから、意欲的な現社長の下、B♭管とC管の選択肢をさらに拡げようと7〜8年前から新しいモデルの開発が始まりました。そこから生まれたのがHD(ヘビーデザイン)シリーズのB♭管のS32HD(MLボア)とS22HD(Lボア)、C管のS22CHD(Lボア)でした。S32とS22を元にして、それまでの華やかさを損なわずに、重厚さを追求したモデルです。
 具体的には、レシーバーを重くし、パーツもすべて真鍮で作っていたものを、抜き差し管の外管に洋白を採用し、管をやや肉厚にしています。ベルも大きく違いまして、従来のシルキーは、出来るだけ無駄がなく反応の良い楽器を目指したコンセプトにより、パイプから成形する継ぎ目のないシームレスベルですが、HDシリーズでは一枚取りのサイドシーム方式を採用し、ベルの直径も5インチ(127o)から4・875インチ(約124o)に少し小さくしてあります。
 このHDシリーズは発売以来、アメリカのオーケストラ奏者を中心に重厚さが加わったモデルとして大変な好評を呼びました。ただ、ベルの形状(ベルの太さ)は以前のままで変えていませんので、先ほど高橋先生がおっしゃったようなご意見を参考にしてベルの絞りなどをさらに研究し、開発されたのが今回のニューHDモデルです。HDモデルとニューHDモデルとの大きな違いは、ベルの絞りが違うことと、楽器全体の重量バランス、ということになります。
高橋 ヘビータイプ(HD)が出たというのですぐに試したんですが、僕にはちょっときつい印象があった。その時から「S22とS22HDの中間があれば!」と思っていたんですね。今回それが現実のものになったわけです。
 ─B♭管への持ち替えの違和感はなくなりましたか?
田中 前とは比べものにならないくらい楽になりましたね。

音の輪郭がはっきりと出て、なおかつ音は柔らかい

 ─C3HDには田中さんはどんな印象を持ちました?
田中 出したい音をイメージしながら吹いている感覚と、実際に自分の耳に聞こえて来る音とがとても良く同期する。もう一つ、これが一番大きな理由ですが、音色的に自分の一番ウィークポイントだと感じていた部分をうまく補正してくれるんです。それでポンと飛びついた(笑)。
 ─音色のどんな部分?
田中 音の輪郭がはっきりしているんですよ。もともと自分の音は埋もれがちだと感じていて、トロンボーンと一緒に吹いたようなとき、自分では結構吹いているつもりでも、読響のTV放映などで確認するとやや小さく聞こえる。  ところがC3HDを使うと、音の輪郭が非常にはっきりと聞こえて、音の中味の色もきちんと出るんです。シルキーに対してタイトな音のイメージを持っている方もいるかも知れませんが、C3HDは音が柔らかくて響きがとてもあり、なおかつ、音の輪郭がはっきりしている。だから「遠くまで聞こえているだろうな」というイメージを持ちながら安心して楽に吹けるんですね。
高橋 僕も全く同感。自分の耳でも聴きやすく、遠くにも音が飛んでいる感じがする。それも、音が拡がるように飛ぶのではなく、まとまって飛ぶ。C3HDは同じエネルギーで演奏しても、音のプレゼンテーションがどの楽器よりも自然に、楽に出来る感じがしますね。



 ─まわりの評価は?
田中 それは変わらないです(笑)。
高橋 僕もそう(笑)。オケでシルキーを使って1年経ちますけど、気づいていない人は多いと思う。
田中 いきなり金色になったので「あ、色が変わった!」とは言われます(笑)。後輩に頼んで、他社製ものとC3HDを、ホールでブラインドで何回も聴き比べてもらいました。その実験では、シルキーの方が音の輪郭がはっきりしていて、音のかたまりとして聞こえてくるという結果になりました。
高橋 音の輪郭がはっきりする分、頑張らなくてもいいんですよ。自分が歌いたいように演奏すればいいだけなので、余計なエネルギーを使わずに済みます。

ゴールドプレートは今まで苦手だったのに……

 ─色が違うという話が出ましたけど、B♭管はお二人ともLボアのS23HDゴールドプレート。C管のC3HDは高橋さんがシルバープレート、田中さんがゴールドプレート。
高橋 気に入った楽器が、たまたまその色だったというだけ。オケではずっとシルバーを使って来たので、シルバーの輝きというか、いぶし銀的なサウンドに慣れているということはあるかも知れない。B♭管も今までシルバーだったんですけど、今回は楽器の個体として気に入ったのがたまたまゴールドだっただけで、色の違いはあまり気にしません。
田中 僕も、たまたま自分に一番しっくり来たのがこの色だっただけですね。
 ─一般的には、ゴールドプレートの方が音に輝きが出ると思われているのでは?
高橋 それは思い込みかも知れない。僕はそうは感じない。
田中 僕はゴールドの響きが苦手だったんですよ。シルバープレートの上にゴールドプレートをかけるから、メッキが厚くなることもあるんでしょうが、ゴールドの響きが自分には耳障りに聞こえた。でも、シルキーのニューHDを吹いたら「えっ?」って感じで。まるで気にならないし、むしろ柔らかい音に感じる。僕も今までゴールドはギラギラした音だと思っていたんですけどね。



高橋 世界的に見ても、ゴールドを使っている人ってそんなにいなかったでしょ? それにはやはり理由があるんだと思う。音色が固定されてしまうとか、吹奏感が気に入らないとか。以前、クリーヴランド管弦楽団のマイケル・サックスさんの楽器を見せてもらったら、ニューヨーク・バックにものすごく薄いゴールドをかけたものだった。かけたとしてもその程度ですよね。
田中 楽器の保護のために薄くゴールドプレートでコーティングするという感じかな。
高橋 今回のシルキーは、本当に、ゴールドでもギラギラした感じは一切なく、しっとりとした音が出ます。その上に、僕は楽器のメンテナンスがすごい苦手なので、変色しにくいゴールドはとてもありがたい。

ハンドメイドによる作りの精度の高さ

 ─ピッコロトランペットもシルキーをお使いですか?
高橋 僕は新しいP7―4と、前からあるP5―4の両方を使っています。
田中 僕も(笑)。
高橋 P5―4は華やかな音でオーケストラやブラスアンサンブルにふさわしく、P7―4はバッハなどのバロックや室内楽などにぴったりですね。
田中 まったく一緒ですね。ペトルーシュカやボレロなどオケでピッコロを使うとなるとP5―4、その方が音が立つというか強くなる。P5―4はオケのサウンドの上に楽に乗っかれるので、とても楽に吹けます。逆にソロとかバッハのカンタータなどでは、より音が柔らかいP7―4を使っています。
※高橋氏はP5―4GPとP7―4GP、田中氏はP5―4SPとP7―4GPを使用。
 ─もちろんE♭/D管も?
高橋 シルキーのE♭/D管は定番中の定番。世界中で使われています。なんと言っても、音程の良さと音色の良さ。E♭/D管はどの楽器も、まず音程で苦労するんですよ。ハイドンやフンメルなど、ほかの楽器だと替え指だらけで吹くことになりかねない。「薬指を何回使うの?」って感じで(笑)。そんなの僕には無理。普通の運指の方がずっと楽ですからね。E♭/D管は僕にはシルキーしか考えられないですね。
 ─改めてシルキー・トランペットそのものの良さは何だと?
田中 楽器自体のクオリティの高さです。大きなメーカーと違って、すべてハンドメイドで作られていますから。機密性が高いので音のつながりも良い。
倉林 社員が30人ほどと少なく、製作に携わっている人はその半分くらいですから、生産本数は決して多くはありません。HDが出たときに工場を見させていただきましたが、トランペットの心臓部ともいえるケーシング部分を作っている方は、シルキー氏と一緒に働いていたベテランの方でした。
田中 他社製の楽器だと、買った後にいろいろ調整してもらう手間が必要だったりしますが、シルキーに関してそれはまずない。精度がものすごく高く作られています。だから「シルキーは楽に演奏できる」といわれるんですよ。
高橋 ムラがないんですね。ある音が詰まったり音程が高かったり低かったりというムラがまずない。自分が歌うように素直に演奏できる。音にムラがあると、補正するのに労力をとられ、精神的なストレスになるんですが、それがないというのはもの凄く大きなことだと思います。



 ─オーケストラのトランペットは近年、これまでとはやや違う方向に行きつつあるように思います。より繊細な表現が重視されるような。
田中 これまでの「大きく、大きく」というのとは逆の流れになりつつありますよね。
高橋 昔のように「爆音」で演奏するよりも、より美しく、もちろん音もきちんと出た上でオケの邪魔をしない、というのが今の世界的な流れじゃないでしょうか。今でも大きな音を要求する指揮者もいますが、流れとしてはバランス重視の指揮者の方が多いと思います。
 ─そうしたトレンドにニューHDモデルはきちんと向き合っている?
高橋 とてもコントロールしやすく、繊細な表現も可能で、オールマイティに使いこなせる楽器だと思います。
田中 コントロールがすごくしやすい楽器。かと言って大きな音が出ないわけでは決してない。
高橋 B♭管はソロやアンサンブルで使いますし、僕はいま100%ニューHDです。
田中 僕もロータリー以外は100%。
高橋 都響でも内藤君(内藤知裕氏)がC3HDを使っています。楽器って、自分が気に入っているからみんなも使ってくれとは言いにくいじゃないですか。感覚は人それぞれですから。でも、「こんなに良い楽器が出来た」ということは、是非みなさんに知っていただきたいと思います。今使っていらっしゃる楽器で悩みがあるような人は、もしかしたら新しい道が見つかるのではという気がします。
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